水蜘蛛

リアル忍者ネタが少ないのが寂しかったので書いてみました。


忍者が水上を移動する際に用いた「水蜘蛛」というものがあります。
わりと有名なので知っている方も多いかもしれません。
円形の木の板で足に履くあれですね。

この水蜘蛛は「万川集海」という伊賀甲賀に伝わる忍術を集めた有名な忍術書にも載っています。
しかし、実際には水蜘蛛で水の上を移動するのは不可能らしいです。
そろどころかバランスを取るのも困難だとか。

そこで、「浮き輪のようにして使った」という説と「沼地を渡るのに使った」という説があるようです。
浮き輪の方はそのまんまです。
そして、「沼地を渡るのに使った」という方なんですが
実は別名に「沼浮沓（ぬまうきぐつ）」という呼び名があるそうです。

どうやら当時の城の堀にはいくつか種類があったらしく
必ずしも水が張ってあるとは限らなかったようです。
そして、堀の１つとして「沼堀」という泥などを使ったものがあるのですが、
これが厄介なことに潜ることはもちろん泳ぐこともできなかったそうです。
もちろん船を使えば渡ることはできるのでしょうが、さすがに目立ちます。
となると見張りも手薄になるので、忍者はそこに付け込もうと水蜘蛛を発明したのですね。

紙面上では「水蜘蛛」などと如何にも水の上で使いそうな名前にしておいて
伝授するときには口伝でのみ正しい使い方を教えていたのです。
これなら忍術書を盗まれても敵がこちらの技術をすぐに活用するのは難しいですよね。
こうやって上手にフェイクを織り交ぜて秘伝の術を隠すのが如何にも忍者らしい！

これに限った話ではありませんが、忍術書には大抵重要な部分が記されていないらしいです。
本当に重要な事は師から口頭でのみ伝えられたそうです。